高分解能イオン散乱装置

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原理

 イオンビーム分析における散乱イオンのエネルギー測定を、半導体検出器ではなく磁場(電場)を用いることで表面感度を向上させることができます。実際、深さ分解能は半導体検出器では10nmオーダーですが、試料への斜め入射条件で磁場分析を行うと1原子層の厚さまで分解できます。
 分析システムを有効に作動させるには、イオン種として表面での荷電変換による中性化が少ないこと、イオンエネルギーとして阻止能の大きい領域を選ぶことが求められます。これらを満たすものとして、数100keV領域の4Heイオンなどが用いられます。一方で分光器は電場或いは磁場の走査を行う必要性などから感度が低くなる傾向があり、これを避けるため位置感応検出器などを利用します。
 イオン後方散乱と同じ分析システムにより、表面に斜入射させた4Heイオンにより、前方に反跳される水素、重陽子などの反跳粒子を分析することで、高分解能反跳粒子分析法として用いることもできます。また単結晶試料ではチャネリング現象やブロッキング現象と組合せることにより、表面近傍の異種元素の結晶学的位置決定のみならず、歪分布評価なども可能になると考えられます。

特徴

  • エネルギー分解能:入射エネルギーの0.4%以下(300keV He+で1.2keV以下)
  • 深さ分解能:1.2keVのエネルギー分解能は、Siを基準にすると約0.2nmに相当。散乱イオンのエネルギー損失量から深さの情報に変換。イオンスパッターなどは不要のため非破壊。
  • 定量精度: 評価に用いる散乱断面積やエネルギー損失に関するデータは国際的に評価されもので、+-3%以内の精度で定量可能。
  • 水素の定量: 4Heイオンを入射すれば、H及びDともに検出可能。定量下限は0.1-0.5at%程度。